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人間文化課程最後の学年に入学したみなさんへ室井先生からのメッセージ

今年度の横浜国立大学教育人間科学部の人間文化課程に入学したみなさんへ向けた

室井先生の文章をご紹介します。

今の時代を「見る」ことを恐れてはならない。

時代を「見つめる」センスを持つ。

横浜都市文化ラボでは、変な大人や変な先輩に出会える場所です。

おもいっきり活用して、楽しい大学生活をおくりましょう。

 

手探りで、何かが見つかるまで探し続けろ!

人間文化課程長 室井 尚

皆さん、ご入学おめでとうございます。

ご存知のように、皆さんは人間文化課程最後の学年になります。

最後と言っても、人間文化課程が始まったのは、

今からたった5年前、

そう2011年4月のことでした。

この年の後期入試の前日に、あの東日本大震災が起こり、

福島の原発事故が起こり、そして入試が中止になったのでした。

あれから5年––たった5年の間に色々なことが起こりました。

日本は、そして世界も急速に動き始めています。

私たちは歴史の大転換期を迎えているのかもしれません。

それは不安なことかもしれませんが、ある意味では

とてもワクワクするようなことなのではないかと思います。

私自身は、戦争も終わり、戦後の混乱期も終わり、

二つの安保闘争にも乗り遅れ、何も起こらない少し退屈な時代を

長いこと過ごしてきました。

しかし、

それは後になってみると、何も起こらなかったのではなくて、

いろいろ起こっていたことが「見えていない」生き方を

してきたのかもしれないと今になって思っています。

「見る」ことを恐れてはいけない。

何も見えていなかったことを恥ずかしいと(少し)思っています。

世界はいつでも動いていたのです。

大学時代の四年間(あるいは人によってはそれ以上)は、

こうした転換期に向けて態勢を整えるためにとても貴重な期間だと思います。

この期間に色々なことに挑戦して、様々な人たちと出会い、

学生でなければできないような経験をたくさんしてもらいたいと思います。

何の運動もしてこなかったのに、

定年後の60代になってから

突然トライアスロンを始めた人のドキュメンタリーをテレビで見ました。

皆さんはもう新しいことなんてできないと思ってはいませんか? 

これまでやったことがないことに新たに挑戦するのは怖いとは思っていませんか? 

そんなことはけっしてないのです。

楽器だって、スポーツだって、勉強だって、アートだって、

今までやったことがないことに本気で挑戦すれば大抵のことは何とでもできる。

例えば子供の頃からピアノを習っていなくたって、

クラシックのプロは無理でもプロのジャズピアニストくらいにはなれます。

ギターだって名手になることはできます。

うん、でも体を使うことは少し難易度が高いかもしれない。

フィギュアスケートを急に始めたってオリンピックに出るのは無理でしょう。

でも、それ以外のことなら大抵のことなら何とでもなるものなのです。

私は全般的に大学のサークルが嫌いですが、

まあサークルにどうせ入っちゃう人はたくさんいますので、もはや止めはしません。

ただ、どうせやるなら是非初めてのことに挑戦してください。

そして、誰もやったことのないことを目指してください。

ちなみにサークルが嫌いなのは、それがホモソーシャルなコミュニティだからです。

大学では同年代ばかりではなくて、

もっといろいろな世代の人や異質な人たちと触れ合うべきだと思っています。

私が横浜都市文化ラボをやっているのもそのためです。

そこに何か大切な出会いがあるかもしれません。

その時にその出会いを逃したりすることがないように、

バイトや部活で毎日のスケジュールを埋めてしまうのにはどうしても賛成できません。

「いま/ここ」という時に自由に動けないような生き方をしていると、

惰性に流されて何も見ないで生きることになってしまいます。

たとえ貧乏でも、孤独でも、

自由にできる時間がある方がはるかに豊かなのではないかと思います。

自分で自分の時間を縛りつけないで下さい。

人間文化課程には多様性があります。

隙間があります。

変な大人と先輩たちがいます。

皆さんは「最後の人間(文化生)」としてあらかじめ祝福されています。

どうぞ、これからの大学生活を力いっぱい楽しんで下さい。

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